理事長挨拶MESSAGE
2024年6月10日に学校法人稲置学園理事長に就任しました。
稲置学園は、1932年、満州事変の勃発により日本が戦争に向かおうとする時代に、初代の理事長である稲置繁男が23歳の時に金沢市彦三の地に、北陸明正珠算簿記専修学校を創設したことに始まります。その後、この専修学校は形を変えながら、1963年に現在の星稜高校となり、1965年には星稜幼稚園を開園、1967年には現在の金沢星稜大学の前身となる金沢経済大学を開学、さらに1972年に星稜中学校を開校し、1979年には、現在の金沢星稜大学女子短期大学部の前身となる星稜女子短期大学を開学、1983年に星稜泉野幼稚園を開園しました。現在は6つの設置校を擁し、金沢星稜大学は経済学部・人間科学部・人文学部の3学部6学科及び大学院経営戦略研究科を設置するに至っております。
稲置学園は、稲置繁男が、夢多き青年教師であった時に抱いた信念、学校は何も高邁な学問を教えることだけが使命ではなく、誠実にして社会に役立つ人間を具体的な実学を通して育成することこそ、教育にとって必要なのだという初心を今に引継ぎ、これを建学の精神として今日まで継承してまいりました。
創立から90年以上を経て、学園は、様々な社会問題に直面することを余儀なくされております。少子化や地方における過疎化、これに起因する教育機関への志願者の減少、急激な情報化社会の進展や生成AIのもたらす未来への不安、激しい気候変動による災害、そして、家庭の貧困による教育の格差・いじめ・不登校…など、解決を見出すことがきわめて困難な問題が山積しています。こうした問題への解決や対応に明らかな正解というものはなく、私達には暗中模索の中で、自ら個々の問題を抽出し、当該の解決の糸口を探求し、それを実践していく力が求められています。
稲置学園の各設置校等の教職員は、認定こども園・中学校・高等学校・短期大学部・大学・大学院において、一人ひとりの園児・生徒・学生が、自ら諸問題を知り、その問題に様々な方法で取り組み、そうした試行錯誤の過程で新たな価値を創造し、未来に生きる力を勝ち取ることができるような人材養成のための教育を実践するとともに、役員及び教職員もまた自らそれを実行していきたいと考えております。
最後となりますが、1月の能登半島地震によって被災された皆様に対して心よりお見舞い申し上げます。学園のキャンパスも地震によって大きな被害を受けました。幸いにも多くの皆様のご支援をいただき教育に支障のない状態にまで復旧しておりますが、完全な復旧には至っておりません。設置校である金沢星稜大学は、中期事業計画の中で「能登半島の創造的復興とともにあゆみ、地域創生に貢献する全学的な取り組みを推進する」と宣言しており、今後とも、社会からの負託を受けつつ、学園全体で「誠実にして社会に役立つ」人を育成することを役員及び教職員一同、互いに協力してまいります。
学校法人稲置学園 理事長 樫見 由美子

略歴
- 1976年3月
- 金沢大学法文学部卒業
- 1983年3月
- 東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得満期退学
- 1984年4月
- 日本学術振興会奨励研究員
- 1985年4月
- 金沢大学法学部講師
- 1996年4月
- 同 教授
- 2006年4月
- 同 大学院法務研究科長併任
- 2008年4月
- 金沢大学理事・副学長
- 2014年4月
- 同 人間社会学域・研究域長併任(~2018年3月)
- 2019年3月
- 金沢大学 退職
- 2019年4月
- 金沢大学 名誉教授
- 2019年9月
- 学校法人稲置学園 監事就任(~2024年6月)
- 2024年6月
- 学校法人稲置学園 理事就任
- 2024年6月
- 学校法人稲置学園 理事長就任